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頼山陽の生涯と詩 安藤英男 著 定価2,500円 戦後右翼思想家として斥けられてきた頼山陽であるが、本当の姿は万里遠征は慎むこと、専守防衛に徹すべきことを「通義」において説いている。また、「日本政記」においても、豊臣秀吉の征伐を非難している。 頼山陽には「蒙古来」のような勇壮な詩があり、それは幕末のナショナリズムと融合し、多くの志士に愛吟されたが、これとて、待つある恃むもの、侵攻し来たった外敵に対し、正義の戦の強さを歌い上げたもので、帝国主義とはなんら関係がない。 頼山陽は官尊民卑の体制をものともせず、草奔(民間)であることに誇りを持ち、かつどうした。現代の草の根活動と会い通じるものであろう。 このような人物の家庭環境や、生い立ち、世の中に及ぼした感化など、資料にもとづき平易な文章で書いたのがこの本である。 日本漢詩を確かなものとした第1人者、頼山陽。彼の残した漢詩を知らずして、日本漢詩をかたれないであろう。 頼山陽を不朽ならしめたのは、なんといってもその文や詩の力である。 大きく時代が変わろうとしている今こそ、この人物を再認識してほしいという気持を込めこの本を薦めるものである。 |